統合保育事例インタビュー | なかよし保育園

INTERVIEW 02

療育室つばさと統合保育をしようと思ったキッカケは?

(以下、なかよし保育園の先生談)
はじまりは、療育室つばさから声をかけてもらったことです。
園の保育目標として、「いろいろな子どもと触れ合う」ということを設定しており、また、なかよし保育園自体開園したばかりで園児が少なかったため、「いろいろな子どもと触れ合う」機会を作りたかったというのが統合保育を決めた理由になります。

Q. 統合保育を行う中での子ども達の反応、変化について教えてください。

クラスメイトに対する優しい態度が中々見られない子でも、つばさの子に対しては物を手渡してあげたり、手を差し伸べてあげたりと自然と手助けをする姿が見られることが多くありました。そのような優しい気持ちが育っている様子が見られて、子ども達の成長を感じられたのが大きかったですね。また、すぐに打ち解けて一緒に遊ぶ姿から、子ども達の順応性の高さを感じました。

Q. 子ども達の成長を感じられましたか?

そうですね。初めは「しゃべりかけていいのか」「触れていいのか」と戸惑っている様子がありました。自分から関わりを持てない子も多くいたと思うのですが、たまたま家族に肢体不自由の子がいる在園生が数人いて、その子達から自然と関わりを持つことが出来てていたように思います。継続して交流を行うことで、つばさの子ども達に親しみを持って関わりを持つことが出来るようになり、近所で出会ったときには「あ、つばささんだ」と笑顔で声をかけて走り寄るようになっていきました。

Q. 先生たちの反応や統合保育を行っての発見があれば教えてください。

反省点はあります。外で会うと「あ、つばささんだ」と呼び合える関係は出来ていたのですが、そうではなく「あ、○ちゃんだ」と名前で呼び合える関係をもっと構築したかったと思います。
先生達は重症心身障がいの子と関わった経験が全く無く、まず「普通に一緒に遊べるんだ」というところから驚きでした。室内でバルーンをして遊ぶことになりつばさの子に合わせて床に座り、低い位置で遊んだり。

その遊び方でも十分に楽しむことが出来て、園の子ども・つばさの子ども双方の笑顔を見ていると、園の子が楽しめることは、障がいがあろうとなかろうと、みんな普通に楽しめることだと気づきました。子どもが感じる「心地よい、楽しい」は共通して同じだと。また、同じ目線・位置で遊ぶということは日々の保育でやらなければならないことだと改めて気づき、違う楽しみ方の発見や遊びの広がりの重要性を感じました。統合保育での経験が、園の保育の中でも活かせるという発見は大きいものでした。

Q. 統合保育を行う中で難しかった点、考えさせられたことはありますか?

一度つばさの子どもが咳き込んでしまったときに、園の子ども達も先生も驚いてそこから関われなくなってしまったことがありました。しかし、その場面で戸惑う、心配するという経験も貴重なものです。大人が感じている以上に子ども達は色々感じていたのではないでしょうか。「なんでしゃべらないの」「なんかお顔に付いてるよ」「僕たちと何が違うの」と素直に聞いてくる子どももいました。

その中で、「そういうお友達もいる」を伝えていくのも我々先生の役割であり、難しかったがありのままを伝えました。伝える為の機会を作ることが出来たことも良かったと思っています。継続して来ていると、「(交流のメンバーを見て)大きい音はびっくりさせちゃうから、今日の活動は音を控えめにしよう」「この間はこのおもちゃを握っていなかったけど今日は握っている。慣れてくれたのかな」と園の子たちがつばさの子達の特徴を覚えたり、成長を感じたりすることが出来て、それに応じて活動を工夫することも楽しい経験でした。

Q. 保護者の方々の反応について教えてください。

年に一回園便りでお知らせしていましたが、正直なところ中々広く周知は出来なかったと思います。保護者も一緒に活動に参加したり、見学したりしてもらうことで、園やつばさの先生方の意図を伝えることがもっと出来たのではないかという反省はありますね。理解を深めていく為に、働きかけがもう少し必要だったのでは、と思い悩むこともありました。

Q. 統合保育を行う中で、なにか記憶に残ったエピソードはありますか?

特定の曜日に繰り返し一緒に活動を行ったことで、「今日も来るかな」と期待感を持って園の子どもたちが話していたり、名札を玄関下のスペースにおいていたので、名札が減っていると「つばささんが他のクラスに来てる!」と園児が話していたりすることもありました。統合保育が園の子どもたちの日常に馴染んでいると感じました。

朝の会も一緒に行うことで、園児達もつばさの子をクラスメイトのように感じているようでした。園で散歩する際、黄色の点字ブロックを歩いており、子ども達には「目の不自由な人が使うもの」と説明していた。すると子ども達から「つばささんの子も使うのかな?」という発言があって。障がいのある人も地域であたりまえに生活している、というイメージを統合保育を通して子ども達が持つことが出来ていたのだと思います。

今後、FLAP YARDに期待することについて教えてください。

音楽療法やSHJ等、療育室つばさが持つ独自の社会資源を使って色々な経験をさせてもらえて良かったと素直に思います。地域の人達にももっと発信していくと良いんじゃないでしょうか。
残念ながら療育室つばさの移転で当園との統合保育・交流が難しくなってしまったので、新しい移転先でも交流の継続を期待!
移転さえしていなければずっと交流を続けたかったです。
地域の人と自然に挨拶や関わりをもてる社会が作っていく為に、理解を深めてもらえるよう情報発信等で園もお手伝い出来たらと思っています。しかし一方で、園側も障がいへの理解を深めて深く知らないと、今わかっている知識だけで伝えていくことは難しいと感じました。交流を続けていく中で、アピール方法やイベントの考案から一緒に検討していくことが出来ていたら、もっと深めることが出来たのかも知れません。

保育園の子達も活発なので、交流の際に「何かしてしまわないか」という不安は最初にありました。その為、交流のクラスは選定していたが、「この子たちにこそ、統合保育が必要ではないか?」という場面も。事故、危険行為は気をつけなければならないが、配慮して活動を行えば、より良い経験を得ることが出来ると思います。